ゲーム雑誌と読者投稿

現在ほどスマートフォンが普及するよりも前、小学生の頃は、家族共用のPCと雑誌とが主な情報収集の方法だった。とりわけ、ファミ通や電撃、ニンドリといったゲーム雑誌は、開発者のインタビューやゲーム愛好家とされる著名人のコラムなどもあり愛読していた。

任天堂信者であった小学生の自分は、ニンドリを毎月のように書店に買い求めていた。特に好んで読んでいたのは、ゲーム業界に関する読者の質問にどこかの編集プロダクションの人物が答えていくコーナーである。ゲームハードや業界の動向に関する解説もあり、興味深く読んでいた記憶がある。

で、自分も一度このコーナーに投稿し、採用されたことがある。当時の雑誌を保存してもいないので曖昧な記憶ではあるが、確かPS vita(当時は正式名称が発表されておらずNGP(next generation portable) と呼ばれていた)が発表された頃のことであったと思う。ソフトの規格がPSPで用いられていた光ディスクからカードロムになるというのが話題になっていた。そこで、光ディスクとカードロムの比較に関する質問を投稿したのである。

ニンドリにはハガキが付いていて、そこにアンケートと読者投稿欄の内容を記入し編集部に送る、という定番の形だった。切手を貼らなくてもいいタイプで、割と軽い気持ちでポストに投函した。そして翌月、コーナーを見ると自分の質問が採用されていた!それも確か一番目の質問者であったはずである。これにはテンションが上がった。自分の初めてのハガキ投稿である。

こんなことを急に思い出したのは本屋の雑誌コーナーが原因である。この前、それほど大きくもない(それでも岩波文庫が豊富に揃っている程度の)地元の本屋をなんとなしに見て回っていた。それでゲーム雑誌のコーナーを見てみると、ニンドリがあった。懐かしいと思って手に取ると、思わず笑ってしまうほど薄くなっていた。まるで年老いた母を担ぐような気持ちで紙面を捲りつつ、当時のことを思い出した次第である。